書評「クリティカルシンキング」
3行要約
- ① クリティカルシンキングとは、ビジネスパーソンが仕事を進めていくうえで役立つ、健全な批判精神を持った客観的な思考。
- ②クリティカルシンキングが“できる”の定義とは、イシューに対してのメッセージが、大きな論理の構造をピラミッドストラクチャーでつくり、演繹的 or 帰納的な思考で各論が論理展開されている。
- ③大きな論理構造を作る際、暫定仮説をメインメッセージ/キーメッセージに設定してから分析作業をすることで仮説検証を高速で回す。
結論(読むべき?)
- 総合評価:★4/ 5
- 結論ひとことで:知能労働したい人(ホワイトカラー)は読んだほうがいい。仕事の経験を積んでからだと、かなり頭に入りやすい。
- おすすめ対象:起業家・経営者・マネージャー層等特定のオペレーションが決まっておらず、市況によって柔軟な意思決定や実行が必要な人
読んだ目的 / 期待
- 目的:自分がコンサルタントとしてしなやかなビジネスコミュニケーションを身につけるため。
- 現状の課題:ロジカルシンキング(MECE感が欠如した論理構造を構築しており、ロジカルコミュニケーションができていない。)
- 期待値:コンサルティングにおける実務レベルでの思考・作業プロセスがイメージでき、自分がどこで躓いているのかメタ認知できる。
キーハイライト(ベスト5)
引用は10行以内、ページ番号か章を明記。
- ピラミッドストラクチャーの作り方 ①正しいイシューを設定できているか? ②イシューに答えるために問うべき論点(枠組み)がMECEか?相手の関心に沿っているか? ③論点(枠組み)に明確に答え、適切な根拠で支えられているか? └So What?を問いかけ、メッセージを抽出できている └Why?True?を問いかけ、論理が成立しているかチェックできている
- 2つの論理展開とよくある 落とし穴 ◆2つの論理展開方法 演繹法:2つの情報を関連付けて、そこから結論を必然的に導き出す思考法 EX: ・個人情報の保護をしっかりすることが社会で求められている…一般論 ・D社は業務の特徴として、様々な個人情報を取り扱う…観察事項 ➤D社は個人情報の保護に力を入れなくてはいけない ◆演繹法のよくある落とし穴 ・前提(ルール・一般論)が省略される ・論理が飛躍する(途中の論理展開を省略している or省略した論理展開が誤っている or蓋然性の低い命題をつなぎ合わせて展開された論理になっている ・ルールとケースのミスマッチ(本来結びつかない、あるいは結びつけてはいけない「ルール」と「ケース」を強引に結び付け、間違った結論を誘導してしまう=ビジネスにおける「ルール」は、ある条件下で成り立つもののため、時代や場所、あるいは人々の行動様式が変われば、適用しない場合が多い) 帰納法:観察されるいくるかの事象の共通点に着目し、ルールあるいは無理なく言えそうな結論を導き出す思考法(※演繹法とは違って、自動的に結論が導き出されることはなく、結論を導き出すには想像力が必要になる) ◆演繹法のよくある落とし穴 ・軽率な一般化(どれだけの事例を観察すれば、妥当な結論を導出できるのかに決まりはない。相手の納得感次第。) ・不適切なサンプリング(選び出したサンプルが全体集合を代表するようなものではない)
- 各論点に対してのメッセージを見出す現状把握 現状を把握するとは、分析対象の全体や構成要素を多面的に見て、それぞれの特徴や傾向を正しく認識する営み。 ★分析対象の特徴をつかむための視点 ①全体の構成と、構成要素のばらつき度合いを把握する ②インパクトの大きさを考える ③比較して、差分を見つける ④法則性と特異点・変曲点を見つける
- 因果関係と言える条件・見極め方・考えるステップ 条件: ・時間的順序が正しいこと ・相関関係が存在すること ・第3因子が存在しないこと 見極め方: ・Yが起きたすべてのケースにおいて、Xが存在する ・Xが存在しないときに、Yが存在しない ・ほかの条件は同じ 考えるステップ: ①考えられる要員を具体的に洗い出す ②いったん「Aの原因はBだ」と考えたところで止まらず、「ではBの原因は何?」とさらに考えてみる ③そこからさらに因果の要素をつなげ、構造化することでその関係性やその影響度を把握していく
- <<ピラミッドストラクチャー作成のステップと仮説検証のステップ>> 仮説を立ててから、検証のための分析作業が発生する。 ◆良い仮設とは?: ①新奇性・独自性があること ②イシューからの「ずれ」がないこと ③具体的な行動・意思決定に役に立つこと ◆良い仮設を立てるためのポイントは? ①経営に関する知識(経営のフレームワーク・セオリー×実例) ②特異点を探知するセンス └予期せぬ成功を認める勇気 └現実を直視する姿勢 └間違っていたと率直に認めるだけの謙虚さ ③質の高い仮説を目指す志
まとめ
- 本から得た一番の変化:ピラミッドストラクチャーから、どの範囲を仮説として立てるかがわかった。(良い仮説を立てるためのスタンスも理解できた。)また、演繹法と帰納法のよくある落とし穴について理解できた。
- 読者への一歩:まずは相手の発言の背景にある構造・メカニズムを考えながらイシューをとらえよう。ロジックは大人のマナー。